研究概要 |
本研究は、平成6年病院改築を着工した名古屋大学医学部附属病院について、病院改築前後における看護職員の健康障害と作業環境及び患者の生活環境について評価し、改善点・残存する問題・新たな課題を検討し、よりよい環境整備をはかるための基礎資料を得ることを長期的な目的としている。平成6年度から平成7年度を第1期に当て、改築前の調査を実施した。 1.看護職員の筋骨格系症状の有訴率は、腰痛が55.3%,肩部痛が40.6%,頸部痛が31.2%,腕部痛が18.2%と高率であった。これらの筋骨格系症状は、救急患者の受入・入退院業務・移動介助・体位変換・洗髪の看護作業と関連していた。メンタルヘルスについては、抑うつ症状を示すスコアによって測定した。その結果、他の職業に比べストレスは高いと考えられ、患者とのコミュニケーション等との関連が示唆された。 2.看護職員は、特に作業環境の狭さ・使いにくいさ・換気・暗さ・冷房の効きの悪さを問題とし、設備品については、特に高さ調節のできないストレッチャーや低床ベッドは作業上の腰部負担感が高く使いにくいため、高さ調節のできるストレッチャーや低床ベッド,電動ベッドの増加を望み、また、酸素吸引の配管や点滴スタンドについて使いにくさや数の不足を感じている。 3.入院患者は、特に生活環境の狭さ・使いにくさ・暗さ・換気を問題とし、療養生活の必需品であるベッド・オーバーテーブル・ロッカーにさえ使いにくさや数の不足を感じている。また6人部屋の真ん中のベッドに位置する患者の「狭さ」の問題、手術を受けた場合の「廊下の安全性」や「洗面所・蓄尿室の使いにくさ」の問題、在院日数が長期化した場合の「車椅子や点滴スタンドが不足している」問題等多くの点が明らになった。
|