研究課題/領域番号 |
06672326
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研究機関 | 兵庫県立看護大学 |
研究代表者 |
南 裕子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 教授 (70094753)
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研究分担者 |
根本 清次 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助教授 (40218277)
櫻井 利江 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (80254473)
川口 孝泰 兵庫県立看護大学, 看護学部, 講師 (40214613)
勝田 仁美 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (00254475)
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キーワード | Illness Behavior / セルフケア / 東洋医学 / 伝統・民間療法 / 看護援助 |
研究概要 |
本年度は次の3つの観点から調査を行った。 (1)Illness Behaviorとセルフケアに関する調査 個々人が、日常生活の中で行うセルフケア、特に東洋医学、伝統、民間療法の利用実態を中心にその特質および、それを支える周辺要因などについて明らかにすることを目的として調査を行った。その結果人々は、日常生活の中で、症状を判断して主体的・積極的に、自分に合う方法でセルフケアを行っており、その中には東洋医学や伝統・民間療法を愛用している実態が明らかとなった。 (2)患者特有のセルフケア(東洋医学、伝統・民間療法)に対する看護実践家の評価 看護実践家の、東洋医学、伝統・民間療法および臨床における患者特有のセルフケア継続に対する認識を重要性と実現可能性について、即時デルファイ法により意見の集約を試みた。その結果、看護実践家の認識は、患者が入院しても患者特有のケアを継続することを重要(重要性が高い)と捉えてはいても、看護婦がそれを支援し制度や設備を変えていくことに対しては重要度が低下することが見えた。それは実現可能性にも同様の傾向が見られた。 (3)患者特有のセルフケア継続に対する入院患者の認識に関する調査 入院患者が家庭で継続していたセルフケアが入院によりどのようになったのか、そのことをどのように認識しているのかについて調査を行った。その結果、家庭で行っていたセルフケアを医療者に伝え、入院中も継続することを望んだ人は少なく、しかし、退院後は全員それを再開していた。家庭では見られた人々のセルフケアしようとする姿勢は、入院してしまうと医療者への依存、治療に対する自己決定権の喪失、施設内医療への固定観念等が浮き彫りとなった。 以上の結果より、人々は日常それぞれの経験や周辺要因に支えられて積極的に特有のセルフケア(東洋医学、伝統・民間療法含む)を行っているにもかかわらず、医療施設内における健康回復に対する認識は、きわめて固定的・消極的・依存的であり、看護者のケアに対する認識も従来型の根強い傾向が見えた。
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