研究課題
本年度は、これまでの看護理論にみられる環境の捉え方について整理した。その結果、ヘンダーソン、ジョンソン、ロイにみられるような全体性のパラダイムに基づく相互作用論的な環境論、ロジャース、パ-シ-、ニューマン、キングなどの相互浸透論的な環境論など、人間と環境をセットにして捉える環境論の展開がみられた。文献検索CD-ROM(MEDLINE)により、<看護>・<環境>をキーワードに抽出した1980年以降の研究論文を研究内容別に分類し、その数の推移を調べた。1980年以降で検索できた総文献数は1598件で、そのうち多くの看護理論で述べられている全体性のパラダイムに基づいた人間と環境をセットにして環境論を研究の中で展開しているものは101件であった。これらの研究内容は、大きく8つのジャンルに分類出来た。つまり、ストレスや適応などを主題とする、環境認知理論、健康支援の環境などを主題とする環境支援理論、個人の好みや健康観などを主題とする個人的行動理論、社会的交流やグループダイナミクスなどを主題とする社会・文化的行動理論、家庭環境から入院環境への変化などを主題とする生活様式変容理論、積極的看護介入の評価や試みなどを主題とする治療的援助理論、プライバシーやテリトリ-などを主題とする近接理論、さらに看護理論の検証などであった。次年度は、更に文献的な検討を進め、環境看護学の方向性について議論する。また、これらの概念に基づいて現在の病院環境の中でこれらがどのように認知され、どのような点が問題となっているのかについて、患者側、看護婦側の両方に調査するとともに、これらのデータから得られた結果に基づいて、患者の入院環境評価のための評価法の提案を行う。
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