本研究は、看護学の立場から「環境」概念を整理し、それらの考え方に基づいた環境看護学の構築に向けて、以下の2つの観点から研究的を行なった。 1.文献的な検討による環境看護学のタ-ミノロジーの明確化 「環境」概念を整理した後に、人間-環境系(Man-Environmental System)としての「環境」の視点について文献的に考察した。その後、看護学における「環境」概念の位置づけについて看護諸理論をとおして検討し、環境看護学の位置づけについて論じた。 2.構造モデルの手法を用いた入院患者の環境認知特性の把握 病院に入院している患者が、療養環境に対してどのような認知的評価をしているのかについて、ISM(Interpritive Structural Modeling)法に基づいた手法の提案を行なった。ISM法の手続きによって18の入院環境評価項目を設定し、実際に入院している患者2事例を対象に構造モデル化を試みた。その結果、患者個々人が認知している環境問題のみならず、潜在的な患者の欲求をも顕在化することが出来た。
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