急性心筋梗塞患者を対象として急性期および回復期において、洗髪時の心負荷について検討した。【対象】急性心筋梗塞患者25例で年齢は、61.9±9.1歳であった。また、コントロールとして健常者20例(年齢43.7±12.0)の成績を対比した。【方法】急性心筋梗塞患者の急性期および回復期において、ベッドサイドにハイロ-洗髪車を持ち込み、患者に仰臥位を保持させて、二人の看護者で洗髪を実施した。その際、自動血圧監視装置を用いて、収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数およびPRPを、洗髪前3分間、洗髪中は、湯かけ60秒、石鹸洗髪60秒、すすぎ60秒、2回目洗髪60秒、2回目すすぎ60秒の順で1分毎に測定し、終了後はタオル清拭、ドライヤーで乾燥し、その後数値がコントロール値の10%以内になるまで監視し記録した。【結果】1)洗髪時の収縮期血圧は、2回目石鹸洗髪、2回目すすぎ、終了後1分〜3分において、健常者に比べ有意に上昇したが、その変化率は8.9%以下であった2)洗髪時の心拍数は、2回目石鹸洗髪、終了後1分および3分後に有意な増加が認められたが、6%以内の変化であった。3)PRPについては、2回目石鹸洗髪、終了後1〜3分に有意な増大が示されたが14%以内の変動であった。4)急性期(5.4±2.0病日)と回復期(14.0±3.6病日)における仰臥位による洗髪では、有意な変化は示されなかった。5)最高CK値、心駆出率、梗塞部位等における関連は認められなかった。【考察】急性心筋梗塞患者の仰臥位における洗髪の負荷は、発症早期の神経・体液性調節機序の不安定な時期になされたが、健常者よりも増大した数値は10%以内の変化にとどまり、早期からの実施が可能であると思われた。
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