平成6年11月を締切とし、看護・力労働に係わる看護者・介護者へのアンケートを400名の現場看護者に送付した。その結果、250名からの回答があった。これに加え、自治医科大学付属病院の看護者からのアンケート調査の協力を得て、最終的に357名からの貴重な看護現場からの意見を得ることができた。得られたアンケート結果およびそこに記入された意見は、平成6年12月末日までにデータベースとしてコンピュータに入力を完了した。このデータベースに基づき、目下整理中であるが、その一部を平成7年6月仙台で開催される日本人間工学会で、また、8月に開催される看護学会において発表する予定である。 アンケートの主な内容は、年齢、職場などの基本データ、腰痛の有無・腰痛を起こした場面(ベッド周りでの看護重労働場面を絵で示し、その場面を指摘する。その場面がない場合には自由記述欄に説明してもらうというアンケート)、日常行う頻度の高い動作、ボディメカニックス、看護業務の中に機械を導入することの賛否意見、導入賛成ならその主な機能など8項目およびその他細かい設問と自由意見である。 回答のあった看護者の75%が腰痛を起こした経験があり、重労働であると意識しながら介助を提供しているのが現状である。腰痛を起こした動作のベスト3は、(1)横から全面介助で抱き起こす場面、(2)寝たままの対象者を抱きかかえる動作、(3)ベッド-車椅子間の移動にかかわる動作である。こうした現状からか、看護の世界に機械導入を全面的に賛成とどちらとも言えないという回答がそれぞれ半数を占め、反対の回答はわずか4名であった。どちらとも言えないと応えた人も、患者の安全と安楽が保証できれば賛成という意見である。本調査により、腰痛を起こす看護場面が明確になり、それを抑止する力労働援助機器の要望とそこに望む機能が明らかになった。
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