研究概要 |
本研究では、実験動物としてヒトと同様にビタミンC生合成能を有しないモルモットを用い、肉体的疲労負荷時におけるビタミンCの効果を調べることを目的とした。1)疲労モデルの検討:疲労誘発のため、a)金網中での拘束、b)高温多湿環境下での飼育を行った。金網中の拘束後は自発的運動量は低下するが、拘束時間は1日2時間が限度であった。また、初期応答時において副腎中ビタミンCは低下するが繰返しによる体重低下等の疲労継続の効果は顕著にみられなかった。一方、高温多湿環境(37℃、75%RH/30℃、70%RH12時間昼夜サイクル)においては飼料摂取量が減少し、4日〜2週間の飼育期間中の体重は正常群の約60%に抑制され、運動量も減少した。この結果から、上記高温多湿環境を疲労モデルとして選択した。2)ビタミンC投与の効果に関する検討:モルモットをビタミンC欠乏飼料で2週間飼育した後、高温多湿条件を負荷した。この際、欠乏群、正常群、大量投与群に分け、ビタミンCをそれぞれ0,5,50mg/日投与して4日間投与した。この結果、ビタミンCの大量投与群では体重の上昇に効果があり、栄養状態の改善が認められ、また、ビタミンC投与群での筋肉中のカルニチンレベルの増加がみられた。このことから、ビタミンC投与によりカルニチン生合成が増加し、カルニチンが筋肉に動員され、脂肪酸酸化の促進を促すことで、疲労モデルにおける摂食量の減少を補うことが示唆された。
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