研究概要 |
本研究は、サポートタイプのパンティストッキング(以後、PSとする)のための具体的な設計指針を導出することを目的として,人体表面の圧縮特性と衣服圧との関係,PSの伸び特性と衣服圧との関係を明らかにした。以下に,本年度の研究成果の概要を示す。 1.人体の圧縮柔らかさが衣服圧に深い関わりをもつと考えられるため,まずはじめに脚部およびウェスト部の圧縮特性を女子大生15名を被験者として測定した。大腿部,下腿部,足部の前後左右の4方向,ウェスト位置より上下4位置左半身5方向について,その圧縮変形量,エネルギー,線型性および回復性を明らかにした。また,それらの特性と被験者の体型との関わりを検討し,肥満体形ほど低荷重レベルでの大腿内側の変形の大きいこと,ウェスト部分では広背筋付近で体型との相関が認められた。 2.市販のPSのウェストバンドの引張特性を測定し,PS着用時のウェストバンドの張力範囲を明らかにした。その結果,900gf以上の強い張力が人体にかかると予測されるウェストバンドもみられ,適切な設計指針のないままに製造されている現状が指摘された。 3.サポート力が異なる4種のPSを用いて,脚部11カ所の衣服圧をエア-パック型センサーを用いて測定した。できるだけ体型の異なる女子大生を被験者とし,衣服圧の個人差に注目して検討した。また。静立位を基準とし動作による圧分布の移動についても明らかにした。 4.ほぼ均質な剛体であるマネキンを用いて測定した衣服圧は,Kirkの式を用いて算出した計算値とほぼ一致することがわかった。しかし,人体では個人差,人体部分の圧縮柔らかさによって必ずしも予測できず,Kirkの式に人体の圧縮特性の項を導入しなければならないことが確認され,現在検討を行っている。 5.なお今後はさらに,被験者として50代以上の高年齢層を用い,女子大生との相違についても検討したいと考えている。
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