当該年度に、以下の研究実績をあげた。まず、中学校、高等学校生徒を対象にして、環境問題に対する意識と実態の調査を行った。その結果、環境問題に対する意識や認識、日常の実践には、男女で大きな差がみとめられた。また、これまでの学校での環境教育は、生徒の環境認識や生活実践にほとんど影響を与えていないことが明らかになった。次に、家庭科でのコンピュータ教育用ソフトウェアを3種類開発した。それらは、環境教育支援ソフトウェア『私の家庭・みんなの地球』《入門編》《学習編》《実践編》である。開発したソフトウェアをもちいて、コンピュータ支援による高等学校家庭科での環境教育を実践した。そしてこれらソフトウェアを使用した授業の分析を行い、コンピュータを用いた生活教育の有効性と問題点を採った。その結果、コンピュータは家庭科での環境教育に大きな効果を持つことが明らかになった。さらに、複数の学校、学級での授業実践の分析によって、生徒の生活実態のいかんによらず、また、これまで環境教育を受けたかどうかにかかわらず、コンピュータを用いた環境教育が大きな効果を持つことが明らかになった。このように、コンピュータを用いた新しい教育方法は独自の学習効果を持つことかが明らかになった。また、通常の一斉授業と教師が介在しない自由学習とを比較し、コンピュータを用いた教育においても教師の役割は重要であることが明らかになった。これらの結果は、開発したソフトウェアの有効性を示すものである。しかし、授業の実践によってソフトウェアの修正すべき点もいくつか明らかになったので、それらの成果をフィードバックして、さらに教育効果があがるようにソフトウェアを修正した。またさらに、生徒の環境認識や生活実践とソフトウェアの学習効果との関係を解析して、より学習効果を高める方向にソフトウェアを修正した。
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