当該年度に、以下の研究実績をあげた。まず、高等学校生徒を対象にしてた環境問題に対する意識と実態の調査結果を、多変量解析によって分析した。その結果、環境問題に対する学生の学習意欲を左右する要素のなかでも、学校での環境学習の経験の有無が、重要な役割をもつことが明らかになった。また、行動実践については、環境問題に関心が高く、身近な人々と環境について話し合うことによって、環境にやさしい行動がもたらされていると推定された。そして、環境行動をもたらす3つの要素軸によって、学生を5つのタイプに分類することができた。次に、環境教育ソフトウェア『おいしい水はどんな水』を開発した。そして、本研究で先に開発し、修正を施した3種の環境教育支援ソフトウェア『私の家庭・みんなの地球』《入門編》、《学習編》、《実践編》とともに、大学での授業で使い、コンピュータを用いた環境教育を実践した。そして、これらソフトウェアを使用した授業の分析を行い、コンピュータを用いた生活教育の有効性と問題点を探った。その結果、コンピュータは環境教育に大きな効果を持つことが明らかになった。さらに、中学校、高校での授業実践との比較検討によって、学生、生徒の生活実態のいかんによらず、また、これまで環境教育の経験の有無にかかわらず、コンピュータを用いた環境教育は大きな学習効果を持つことが明らかになった。このように、コンピュータを用いた新しい教育方法は独自の学習効果を持つことが明らかになった。これらの結果は、開発したソフトウェアの有効性を示すものである。また、本研究で得られた成果を印刷し、刊行した。
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