本研究において、以下の実績をあげた。まず、中学校、高等学校生徒を対象にして、環境問題に対する意識と実態の調査を行った。その結果、環境問題に対する意識や認識、日常の実践には、男女で大きな差がみとめられた。また、環境問題への関心が高く、身近な人々と環境問題について話し合うことによって、環境にやさしい行動がもたらされることが明らかになった。次に、家庭科でのコンピュータ教育用ソフトウェアを4種類開発した。それらは、環境教育支援ソフトウェア《入門編》、《学習編》、《実践編》、『おいしい水はどんな水』である。開発したソフトウェアをもちいて、コンピュータ支援による高等学校家庭科での環境教育を実践した。そしてこれらソフトウェアを使用した授業の分析を行い、コンピュータを用いた生活教育の有効性と問題点を探った。その結果、コンピュータは家庭科での環境教育に大きな効果を持つことが明らかになった。さらに、複数の学校、学級での授業実践の分析によって、生徒の生活実態のいかんによらず、また、これまで環境教育を受けたかどうかにかかわらず、コンピュータを用いた環境教育が大きな効果を持つことが明らかになった。このように、コンピュータを用いた新しい教育方法は独自の学習効果を持つことが明らかになった。また、通常の一斉授業と教師が介在しない自由学習とを比較し、コンピュータを用いた教育においても教師の役割は重要であることが明らかになった。これらの結果は、開発したソフトウェアの有効性を示すものである。しかし、授業実践によってソフトウェアの修正すべき点もいくつか明らかになったので、それらの効果をフィードバックして、さらに教育効果があがるようにソフトウェアを修正した。
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