今年度は、主として1991年社会生活基本調査(総務庁統計局)のデータを用いて、週間就業時間、週休制度別にみた夫および妻の生活時間配分について分析した。主な研究成果と今後の研究の展開に関して、次の四点にまとめることができる。 1 週間就業時間の長い夫の週一日あたりの生活は、睡眠時間、自由時間が削られている。しかしながら、家事労働時間は、週間就業時間の長さにほとんど無関係である。これは、夫の家事労働時間は、週間就業時間が短い場合でも長くないことによる。妻の場合、週間就業時間が長いと自由時間と家事労働時間が短くなっている。自由時間については、短時間労働の妻と長時間労働の夫の時間がほぼ等しくなっている。 2 週休一日の夫と完全週休二日の夫の生活時間を比較すると、週全体の労働時間は完全週休二日の方が短い。しかし、平日の労働時間は、とくに雇用者において、完全週休二日の方が長い。完全週休二日の夫の土曜の家事労働時間は週休一日の夫より長い。妻の場合は、完全週休二日の方が平日の労働時間も短い。 3 専業主婦の場合、夫の週間就業時間が長いと睡眠時間、自由時間が短く、家事労働が長い。夫が完全週休二日の場合、土曜の家事労働時間は夫が週休一日の妻よりも若干短いものの、平日、日曜の家事労働時間は長く、週全体の家事労働時間は夫が完全週休二日の妻の方が長い。 4 以上をまとめると、長時間労働には種々の問題点があるものの、労働時間の短縮だけですべての問題点が解消されるわけではないことがわかる。たとえば、夫の労働時間の短縮が妻の家事労働を減少させてはいない。今後の研究の展開としては、同一家族における夫と妻の生活時間配分の相互関係を検討することが必要である。
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