研究概要 |
育児休業法施工後2年半を経過した時点における,育児休業に対する企業による対応の実態を把握し,企業で働く人々の育児休業に対する意識と実態を把握するための予備資料を得ることを目的として,平成6年10月1日〜11月30日に調査を実施した。東京に本社を置く企業については,配布数1,266,有効回収数358,有効回収率28.3%,また名古屋市内所在企業については,配布数500,有効回収数177,有効回収率35.4%である。調査結果の概要を(財)婦人少年協会発行「育児休業制度等実態調査結果報告書」(平成5年,以下,協会調査と略)と比較しながら整理する。 まず調査対象企業の産業別属性では協会調査に比べて製造業と金融・保険業がやや少なく,卸売・小売業・飲食店とサービス業がやや多い。企業規模では協会調査に比べて1,000人以上規模企業がやや少なく999人以下規模企業がやや多い。 育児休業規定の有無についてみると,規定を設けている企業は協会調査(90.4%)にほぼ等しくて90.5%である。ただし東京に本社を置く企業についてみると規定を設けている企業は95.3%になる。東京では1,000人以上規模企業では全企業に規定が設けられているのに対して,名古屋市内所在企業では1,000〜4,999人規模企業においても12.0%の企業に規定が設けられていない。規定が設けられた年次を見ると1992年が63.0%で最も多い。1991年以前に規定を設けた企業は15.5%ある。最長育児休業期間は「子供が満1歳に達するまで」という企業が最も多く93.0%である。これは協会調査の結果(92.0%)よりやや多い。1993年度の育児休業制度の利用者は,男性4名,女性1018名である。男性4名の所属は製造業3社と運輸・通信業1社である。育児休業中の金銭給付の状況については,74.2%の企業が「金銭給付は行っていない」。金銭給付を行っている企業について給付内容を見ると「労働者負担分の社会保険料相当額を支給している」という企業が75.9%である。
|