本研究は、高齢化と過疎化が進む宮崎県下の過疎農山漁村を対象に、高齢者の住生活と住生活文化に関する調査を実施し、居住環境の整備と伝統的な住生活文化の保全について検討するものである。本年度は、事前調査として行政資料を収集と聞き取り調査を行い、高齢者向けの居住環境整備事業は現在始動段階にあって、各市町村間の格差が大きく、また、住生活文化の保全対策はほとんど成されていない現状を把握した。その上で、調査対象地を、過疎地指定を受け、人口が最も少なく高齢化が進む児湯郡西米良村と西諸県郡須木村に選定して、65歳以上の高齢者と20歳以上の成人を対象に調査を実施した。調査結果から、両村とも地域への愛着が強い中で、交通・道路や医療施設等の地域環境問題や、古さや水まわりの不便等の住宅問題が認識されている現状と、伝統的な住宅と住まいに関連する生活文化がしだいに変化し衰退している実態が明らかとなった。
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