研究概要 |
糖尿病患者および糖尿病ラット(ストレプトゾトシン投与により発症)の血しょうについてアフイニテイHPLC法あるいはELISA法により,メイラード反応の最終生成物であるadvanced glycation endproducts(AGE)の分析を行い,健常人および正常ラットのデータと比較し,次の知見を得た. 1)糖尿病患者と糖尿病ラットの血しょうのHPLCにおけるクロマトグラムは極めて類似した溶出パターン(ピーク1〜4)を示した.しかし,ヒトのAGEと考えられるピーク4はラットほど顕著に認められなかった.ピーク4は抗AGE抗体で陽性を示した. 2)健常者31名と糖尿病患者61名の血しょう中糖化タンパク量を比較したところ,HbAlcと同様に糖尿病の進行により増加した. 3)糖化タンパク質(ピーク1〜4)はHbAlcと高い相関性(r=0.858)を示したが,年齢との相関は低かった(r=0.632). 糖尿病ラットに緑茶(日本産不発酵茶),ポ-レイ茶(中国産発酵茶)およびルイボス茶(南アフリカ産ハ-ブ茶)の熱水浸出液を飲料水とした投与したところ,6〜9週後に血しょうとレンズクリスタリン中のAGE量が有意に減少した.茶葉成分が還元剤あるいはラジカル捕捉剤として作用しているものと推定した.これらの結果は茶葉抽出物が糖尿病を含む成人病や老化の制御に有効であることを示唆するものであった.
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