研究課題/領域番号 |
06680054
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
永山 升三 共立女子大学, 総合文化研究所, 教授 (50228061)
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研究分担者 |
山口 庸子 共立女子短期大学, 生活科学科, 講師 (20201832)
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キーワード | 環境 / 生分解 / 高分子カルボン酸塩 / 洗剤ビルダー / 高周波発光分析(ICP) / X線光電子分光分析(ESCA) / カルシウムイオン捕捉力 / 人工汚染布 |
研究概要 |
高分子カルボン酸塩のビルダー効果については、カルシウムイオン捕捉能との関係が従来の我々の研究より予測されてきたがビルダーがどのように被洗浄物(繊維)と洗剤溶液の間で働いているのか、その作用機構については明確な研究がなされていない。そこで、カルシウムのキャリヤ-効果(伝搬効果)が仮説として述べられている。そこで、こうした作用機構も含めて洗剤溶液および繊維表面・内部に存在するカルシウムイオンの移動について、段階的な洗浄工程のサンプル(カルシウム除去布・カルシウム汚染処理布・アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)のみの洗浄処理布・生分解性ポリカルボン酸塩配合洗浄処理布・比較ビルダーとしてゼオライトおよびトリポリりん酸ナトリウム(STP)により洗浄処理布)を作成して、高周波発光分析(ICP)、X線光電子分光分析(ESCA)を用いて実験事実に基づく定量的な解析を行った。更に、実際的な洗浄系と比較検討することから洗剤組成中における生分解性ポリアクリル酸塩ビルダーの作用効果の解明を図ると共に汚染物質の一層有効な除去効果を示す条件等について研究を行った。 (1)ICP発光分光法によるカルシウムの定量より、LASのみの洗浄に比較して生分解性ポリカルボン酸塩を配合した洗浄では約6倍のカルシウム除去効果を定量的に確認することができた。また、カルシウム捕捉剤として洗浄中に通常配合されているゼオライトよりもカルシウムの除去効果が高く、金属封鎖剤として高い効果を示すSTPとほぼ同じカルシウム除去力を示した。 (2)試料表面におけるカルシウムの付着状態をESCAの全元素定性分析(ワイドスキャニング)を行った結果、カルシウムは繊維表面から検出されなかった。そこで、カルシウムの繊維付着状態の確認をかねて、今後、X線マイクロアナライザー(EPMA)の面分析法によりカルシウムの位置関係をより深い深度で測定し、同一の場所に共存する元素の組み合わせから存在状態の考察を行っていくことが必要と思われる。 (3)水を分散媒としたタンパク質配合湿式人工汚染布を用いてTerg-O-Tometer法により洗浄力試験を行った結果、カルシウムイオン捕捉力と高い相関性を示し、従来のゼオライト以上の洗浄効果を得た。
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