現在は、高齢化が進行しており、骨折や骨粗鬆症など骨の脆弱化による疾病が多発し、骨粗鬆症のリスクフアクターのひとつとして、カルシウムの摂取量不足が問題視されている。そこで、カルシウム源として、昔から日本人が食用としている魚骨に注目し、魚骨からカルシウムを摂取することを考慮した。魚骨を食用する料理法としては、古くから甘露煮や鯉こくなどが知られている。これらは長時間加熱することにより魚骨が軟化し、骨ごと食べられるようになる。そこで魚骨の軟化機構を探るために本研究を実施した。実験はマアジを使用し、基礎的実験として魚肉、調味料を使用せず魚骨のみを取り出し、魚骨の物性と成分の変化を検討した。 1.魚骨を30〜180分間常圧で水中加熱した。 (1) 魚骨の重量、水分、椎体の厚さを測定し、加熱時間によるこれらの変化を検討した。 (2) クリープメータを用いて破断強度解析を行い、魚骨の部位および加熱時間による最大荷重、全咀嚼エネルギーを測定した。 (3) 魚骨および煮汁の無機成分をICP発光分析器により測定した。 2.魚骨を5〜20分間加圧で水中加熱し、1.と同様の実験を行い、比較検討した。 3.魚骨を常圧、加圧で水中加熱することによる魚骨の構造変化を現在検討中である。 4.本実験は、上記の通り行つた。その結果については、一部報告済みであり、現在解析中の結果については、各関連学会で報告予定である。
|