研究概要 |
野菜類の内,日本食品標準成分表(以下成分表と略記)に記載されている野菜の内平成7年度は根菜類,花菜類,莢菜類,イモ類を中心に野菜中の全カルシウム,及びシュウ酸カルシウム中のカルシウムを測定し,全カルシウムからシュウ酸カルシウム結晶中のカルシウムを差し引き消化吸収上容易に利用できるカルシウムを推定した. 平成6年度の成果と共にまとめた.栄養上有効なカルシウムの全カルシウムに対する割合からアブラナ科,ウリ科,セリ科,ナス科の果実,マメ科,ユリ科の野菜は含有しているカルシウムの90〜100%が栄養上容易利用が可能なカルシウムであると推定できた.一方アカザ科,ナス科植物の葉,ツルムラサキ科,ショウガ科の野菜のカルシウムは0〜20%のカルシウムのみが容易利用が可能であり,多くのカルシウムは容易利用が不可能に近い存在状態であると推定できた.キク科,シソ科などは種によってカルシウムの形態が大きく異なるようである.同じ科であっても食用部位が異なると,イネ科のたけのことトウモロコシのように有効割合に差が生じている.同じ種であっても部位が異なると,とうがらしやピ-マンの葉と果実のようにカルシウムの有効割合に大差が生じる野菜もある.新しい野菜として現在脚光を浴びているモロヘイヤはシュウ酸カルシウム結晶も多く保持しているが,その量を上回るモロヘイヤ特有の粘性物質と結合しているカルシウムが多いため全カルシウムの80%程度が栄養上有効なカルシウムであると計算できた.また実測定値と成分表の値に差がみられた.この差は野菜の栽培条件の違いで生じたとも考えられる.またバイオテクノロジーによる品種改良の結果生じたとも考えられる.成分表の値は収載された方法から,あくまでも変動幅がある内の一標準値であるには違いないが本研究で明らかになったような有効割合もしくは有効性を表示しなければならないと考えられた.
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