中高年者のための自覚的体力検査を作成するために、自覚的体力検査項目の選択、信頼性、客観性及び妥当性を検討した。1.理論的妥当性を踏まえ、中高齢者のための自覚的体力検査項目の選択。2.自覚的体力検査項目の信頼性及び妥当性(基準関連妥当性)の検討。3.自覚的体力と健康意識・生活行動との関連の検討。4.自覚的体力の因子構造及び因子妥当性を検討し、簡便な自覚的体力検査票の作成。5.自覚的体力検査票の年齢別・性別評価基準及び体力プロフィール表の作成。 以上の検討を通して以下の結果を得た。 1)理論的妥当性の検討を通して、各体力要素(筋力、瞬発力、敏捷性、柔軟性、平衡性、心肺機能)を代表する112項目からなる体力検査を作成した。2)内的一貫性及び信頼性の検討を通して、6つの体力要素を代表する53の体力検査項目を再選択した。3)53の体力検査項目と体力テストの基準関連妥当性を検討した結果、各体力要素において中程度の重相関係数を得た。4)簡便性を踏まえ、各体力要素を代表する体力検査30項目を選択し、総合体力得点との基準関連妥当性を検討した結果、0.841の妥当性係数を得た。5)1)-4)の検討を通して、最終的に選択した30項目からなる自覚的体力検査は、最大能力発揮に基づく体力テストと比較的高い関係が認められ、妥当性、信頼性及び実用性の高いテストであると考えた。6)自覚的体力検査の体力要素別及び全体における評価尺度、すなわちパーセンタイル順位得点を用いて3段階評価尺度からなる体力評価基準を作成した。 作成された自覚的体力検査は、中高年者の体力を評価するのに実用的且つ有効な検査であると考えられた。なお、これらの詳細な結果については、裏面に記した学会及び学会誌に発表した。
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