研究概要 |
初年度は当初の計画通り進んでおり、かなりデータを収集した。具体的には、飲酒習慣、喫煙習慣、運動習慣、食習慣、労働状況などといったライフスタイルを調べた。ライフスタイルについては、労働省労働衛生課(1992)の方法を活用して調査を実施した。飲酒習慣については、山田(1990)と同様の方法を利用し、酒、ビール、ウィスキーをアルコール濃度から日本酒量に換算し、運動習慣については、波多野(1978)の方法を活用し、エネルギー代謝率(RMR)を用いて、1カ月間のエネルギー消費量を求め、さらには、岡本ら(1989,1990)の方法を利用して、運動強度、運動頻度、運動持続時間から運動量点数をも求めて、異なった2つの方法でできる限り客観的に運動習慣を把握した。そして同時に、総コレステロール(TC)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)、中性脂肪を定量し、TCとHDL-Cから動脈硬化指数も算出した。さらに、体脂肪量、体脂肪率、除脂肪体重、血圧(収縮期血圧と拡張期血圧)なども測定した。 本年度の具体的な研究結果として、運動習慣とHDL-C(善玉コレステロール)との正の相関関係や同様に運動習慣と動脈硬化指数〔(TC-HDL/HDL)〕との負の相関関係などが明らかになった。つまり、詳細に運動習慣を把握した結果、やはり身体的活動量の多い活動的な日常生活を送っている人達は、動脈硬化を抑制する要素の多いことが明らかになった。ただ、男女別・年代別で研究結果にかなり差のあることがわかり、来年度は男女別・年代別に詳細な分析を行うことにした。
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