本研究の目的は、中高齢者の運動処方が安静時脳波や呼吸循環機能(頸動脈血流波動指数、大動脈脈波伝達速度)、血圧及び血圧調節に関する内因性の降圧利尿ホルモン動態などに及ぼす効果を総合的に明らかにすると共に、これら諸機能の相互関係、特に脳波と心臓自律神経活動動態を中心に比較検討するものである。 今年度は、エネルギー代謝装置、自転車エルゴメーター、負荷心電図モニター、心電R-R間隔・電圧変換器などを用い、中高齢者8名を対象に運動処方の前後における安静時の血圧・循環調節ホルモン(心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、カテコラミン、レニン、アルドステロン)、頸動脈血流波動指数、大動脈脈波伝達速度、心筋酸素需要・供給状態(DPTI/TTI比)や心拍変動スペクトル解析による心筋仕事量や心臓交感・副交感神経活動動態の定量化、及び脳波(各周波数対域毎のパワースペクトルにより平均周波数、振幅値、および相対的貢献度)の分析を行った。その結果、運動の降圧効果や、脳波に認められるリラクセイション効果にβエンドルフィンや自律神経活動動態が大きく関与している可能性が示唆された。
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