研究概要 |
本年度は、スポーツ選手のパフォーマンスの要因となるコンディショニングのうちウォーミングアップのちがいが有酸素性運動能力および無酸素性運動能力に及ぼす影響について検討した。 方法:被検者は,H大学陸上競技選手6名(短距離選手3名,長距離選手3名)である。ウォーミングアップ(W-up)の方法は,1.ストレッチング・準備体操(S・L),2.自転車エルゴメータによるペタリング(Bi)を各20分間とした。有酸素性運動能力の評価(Test)では,エアロバイク800(コンビ社製)を用いてPWC75%HRmax(PWC70)を測定し,そして,無酸素性運動能力のそれでは,POWER MAX-V(コンビ社製)を用いて最大無酸素パワー(AnPM)を測定した。実験中の安静時(Rest),W-up直後,Test直前,Test直後には,ラクテート・アナライザー(YSI社製)を用いて血中乳酸濃度(LA),セラライザー自動分析装置(Ames社製)を用いて血漿クレアチン憐酸キナーゼ(CPK)を測定した。さらに,実験中の心拍数を連続的に測定した。 結果:1.有酸素性運動能力に及ぼす影響,(1)PWC75は,W-upの違いによる差はみられないが,長距離選手より,どのW-upの場合でも高い値を示した。(2)PWC75測定後のLAは,W-upのS-LがBiよりも高い傾向を示した。(3)CPKは,W-upの違いよりも実験前の安静時の値に左右されることが示唆された。2,無酸素性運動能力に及ぼす影響,(1)AnPMは,W-upの違いによる差はみられなかったが,短距離選手は長距離選手より,どのW-upの場合でも高い値を示した。(2)W-up後,AnPM測定直後のLAは,W-upの違いによる差はみられないが,AnPM測定直後のLAは、安静時と比べるとどのW-upの場合でも約4倍に増加した。(3)CPKは,W-up,AnPM測定の各直後では,W-upの違いによる差はなく,CPKは安静時の値に大きく左右されることが示唆された。
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