研究概要 |
本年度は,スポーツ選手のコンディショニングのうち,マラソン走行後の疲労がパフォーマンス,すなわち有酸素性運動能力および無酸素性運動能力に及ぼす影響について検討した。 方法:被検者は,H大学陸上競技の長距離選手6名である。マラソンは約40kmの距離を平均2時間40分で走行した。マラソンの前日と後日に有酸素性運動能力と無酸素性運動能力を測定した。有酸素性運動能力の測定にはエアロバイク800(コンビ社製)を用いてPWC75%HRmax(PWC75)を測定し,そして無酸素性運動能力の測定にはPOWER MAX-V(コンビ社製)を用いて最大無酸素性パワー(AnPM)を測定した。各測定前後の安静時とテスト直後では,ラクテート・アナライザー(YSI社製)を用いて血中乳酸濃度(LA)を,セラライザー自動分析装置(Ames社製)を用いて血漿クレアチン燐酸キナーゼ(CCPK)を測定した。さらに実験中の心拍数を連続的に記録し生理的負担の示標とした。 結果:1.マラソンの疲労が有酸素性運動能力に及ぼす影響(1)PWC75はマラソン前後で差はみれらなかった。(2)CPKはマラソン前日のPWC75測定後に増加の傾向がみられた。(3)LAは,マラソン前日と後日のPWC75測定前後で有意な増加がみとめられた。(4)Hctはマラソン前日と後日のPWC75測定前後で差は見られなかった。 2.無酸素性運動能力にマラソン疲労が及ぼす影響(1)AnPMはマラソン前後で差はみられなかった。(2)LAは,マラソン前日と後日のAnPM測定後に増加の傾向がみられた。(3)CPK,Hctの各値は,マラソン前日と後日のAnPM測定前後で有意な差はみられなかった。
|