研究概要 |
わが国のスポーツ組織・集団の特徴として、従来から集団成員に均質のスポーツ観や態度等がみられると指摘されているが、それは当該集団・組織が「家元(的)社会」を形成していることに起因しているためと考えられる。 本研究の主題である、スポーツ集団における“組織と個"の関係の様態を明らかにするためには、スポーツ集団の「家元社会」度を数量的に把えることによって可能になると推測される。 本年度はスポーツにおける“組織と個"の関係に関連する文献を収集するとともにその概念図式及び分析枠組みの構成を試みた。それは、スポーツ集団における「家元的存在」の有無とその集団成員との距離、それに対する同調・非同調の程度によって測定される。従ってこれに基づき予備調査を実施した。 調査に当たっては下記の点に留意した。 1.競技レベルの違いを配慮する。 2.集団の組織化のレベルの違いを配慮する。 3.集団基盤(集団の成り立ち)の違いを配慮する。 調査の対象は下記の通りである。 1.クラブ代表者 400名 有効回答(回収率) 192名(48.0%) 2.クラブ成員 1,200名 有効回答(回収率) 551名(45.9%) 調査結果の概要は、以下の通りである。 クラブのタイプを楽しみ重視型と競技会重視型及びその中間型に類型化し、組織的側面、活動的側面、集団の凝集的側面のそれぞれを比較検討した。 競技会重視型は楽しみ重視型に比べて組織力が強く、内容的にも豊かで活発な活動を行なっているが、集団の凝集的側面からみると非同調的成員も多いことが明らかとなった。 次年度は予備調査の結果を参考にしながら、集団の「家元社会」度と集団成員と家元(的)存在との距離の測定を中心に、予備調査の対象と同一の対象を用いて本調査を行なう
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