1.スポーツと家元制度(的)社会 スポーツは、武道における家元制度(的)社会の形成過程をとったのではなく、武道との共通性である身体性や競技性を軸にしながら、わが国における道・修業の思想、「型」の文化と融合し、わが国の社会の構成原理としての家をモデルに家元制度(的)社会を構成するようになったと考えられる。したがって、わが国のスポーツ集団は極めて類似的な性格を有し、均質的な集団成員を有するようになると考えられるのである。 2.スポーツにおける“組織と個"の関係 スポーツと家元制度(的)社会の関係を分析モデルとして、予備調査の結果から、競技指向が強く、監督・コーチ等の指導者を有しているクラブを対象に、スポーツにおける“組織と個"の関係を個人に視点を置き、社会学的に分析した。 全ての質問項目に対して5段階評価で回答してもらった結果、種目別、男女別に平均スコアでは殆ど差がなく、球技と武道の比較においても有意な差はみられなかった。個人に視点を置くという方法的な限界から、標準偏差をとりあげ個人間における得点スコアのばらつきをみたが、5点のうち最も大きな隔たりのある質問項目でも1.09であり、全ての質問項目が0.69から1.09のレンジにある。このことは、集団の類似的性格と集団成員の均質性を示しているといえる。 それは、スポーツ組織が家元制度(的)社会を構成しており、監督・コーチという指導者が家元的存在として位置し、技術の習得過程や競争の過程において、集団の規範を個人が内面化していくからに他ならないと結論できる。
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