研究概要 |
本研究ではオリーブ油を用いた高脂肪食にカルニチンまたはパントテン酸を添加した場合の糖質および脂質代謝に及ぼす影響について血清エネルギー基質や関連酵素の動態からマウスを用いて検討を行なった. 1)実験期間中の動物の体重の増加は,5%オリーブ(5%Oと略)群に比べて40%オリーブ(40%Oと略)群,40%オリーブ+カルニチン(40%OCと略)群,40%オリーブ+パントテン酸(40%OPと略)群および40%オリーブ+カルニチン+パントテン酸(40%OCPと略)群のいずれも,高い様子にあった. 2)血清グルコースレベルは絶食負荷により5%O群で有意に低値を示したのに対し,その他の群ではそのような現象は認められなかった. 3)血清遊離脂肪酸レベルは,いずれの群も絶食負荷により著しく増加を示したが,その中でも特に40%O群,40%OC群,40%OP群および40%OCP群で増加の程度は大きかった. 4)筋肉グリコーゲン量は,絶食負荷により5%O群で有意に減少していたのに対し,40%O群,40%OC群,40%OP群および40%OCP群のいずれも絶食負荷による減少は認められなかった. 5)肝臓グリコーゲン量は,5%O群,40%O群,40%OC群,40%OP群および40%OCP群のいずれも,絶食負荷により著しく減少した. 6)肝臓の総脂肪重量は,安静時および絶食時において,40%O群,40%OC群,40%OP群および40%OCP群のいずれも,5%O群に比較して顕著に低値を示した. 7)肝臓組織のトリアシルグリセロール画分脂肪酸組成は,5%O群のC18:1において絶食負荷による顕著な変動は認められなかったのに対し,40%O群,40%OC群,40%OP群および40%OCP群のいずれも,絶食負荷によりC18:1が著明に減少した. 8)筋肉のHAD活性は,5%O群において絶食負荷による顕著な変動は認められなかったのに対し,40%O群および40%OC群では増加する傾向にあった.また40%OP群および40%OCP群では,絶食負荷前に比べて顕著に高い活性を示した.
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