研究課題/領域番号 |
06680122
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
室 増男 東邦大学, 医学部, 助教授 (80112887)
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研究分担者 |
大嶋 洋 東邦大学, 医学部, 講師 (30104152)
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キーワード | ダメ-ジ / 筋損傷 / 修復期間 / DNA / 運動単位 / 疲労 / 伸張性収縮 / コンピュータシミュレーション |
研究概要 |
筋肉を急激に収縮しようとするときには、αニューロン群からの発火パルスが筋線維に伝えられる.このようなときは複数の筋線維を監視する筋紡錘より約20Hzの興奮信号が、αニューロンにフィードバックされ、αニューロンの興奮がコントロールされる.この筋紡錘から発射されるパルスの頻度は、ある群に属する全てのαニューロンが興奮したときには少なくなると予想される.この筋紡錘の機能を考慮してモデルを作り大脳の出力細胞からのパルス周波数とαニューロンの興奮頻度との関係を数値計算すると、脊髄の制御機構が推定できる.そこで生理的データに基づいて下腿三頭筋の運動単位の活動様式をコンピュータシミュレーションによって調べると、大脳皮質運動野の出力細胞の発火頻度とα-運動神経細胞との関係は、多くの報告データとほぼ一致していた.出力細胞の出力パルスは3種類のMUsの活動頻度に変化を与えた.S-MUs(Slow twitch MUs)が10Hz〜25Hz、FR-MU(Fast twitch resistant MUs)が10Hz〜32Hz、FF-MU(Fast twitch fatigable MUs)が20Hz〜52Hzで応答した.応答出力パルスから20〜30Hzで応答頻度はプラトーになった.これは特にEPSP(Excitatory post synaptic potential)の時定数がCMNの出力パルスに大きく影響したことに起因していた.RCはMUの活動が増加すると抑制効果を強めるが、EPSPの時定数ほどの影響はなかった.速筋のα-運動神経細胞における活動開始は大脳皮質運動野の出力細胞が高い発火頻度になってから起り、その頻度は他のα-運動神経細胞よりも高く、出力細胞のわずかな発火頻度にの変化に反応していた.Eccentric収縮を負荷した想定では筋速のα-運動神経細胞の活動が優先されることになるので、α-運動神経細胞に支配されている速筋線維に活動が及ぶと、それぞれの筋線維に外力的負荷が加わり損傷を誘発することにつながる.同様なことをRCsを除外してシミュレーションすると、上の関係が観察されなくなった.したがって大脳皮質運動野の出力細胞の発火頻度とα-運動神経細胞との関係はRCsの加えた神経回路の中で成立することが明らかとなった.
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