健康に関連する要因として、皮下脂肪よりはむしろ内臓脂肪がより深い関係を有しているとの指摘がある。しかし、現状では内臓脂肪を簡易に計測する方法は見いだされていない。そこで我々は全身にわたり10mm間隔でMagnetic Resonance Imaging(MRI)の横断画像を得て、皮下脂肪、内臓脂肪およびその他の脂肪面積を計測した。被験者は成人女子27名、成人男子10名であった。MRIより得た資料を妥当基準として水中体重秤量(UW)法、生体インピーダンス(BI)法、超音波(US)法等で得られた資料を解析、比較検討に用いた。結果は以下に示す通りである。 1MRI法で求めた体脂肪率はUW法、BI法およびBMIとの相関は0.1〜5%水準で有意に高いことが認められた。 2MRI法で求めた臍上5cm、臍部、臍下5cmの各レベル横断面の内臓脂肪面積と横断面の前後、左右、斜め方向の単位長当りのインピーダンス値(Imp/cm)との相関は5%水準で高い傾向が認められた。これらの傾向を基に各横断面前後径のImp/cm値から皮下脂肪厚分のImp/cm値を引いたものを内臓脂肪分のImp/cm値と考え、内臓脂肪面積を推定したところ実測値と0.1〜1%水準で高い相関を示した。
|