研究概要 |
本年度の研究概要は下記の通りである. 1)肺血管平滑筋細胞のCa^<2+>動態:運動トレーニングラットの低酸素性肺血管収縮(HPV)抑制には,肺血管電位依存性Ca^<2+>チャネルが関与する新知見が得られた。また,運動トレーニングラットのHPV抑制には,cGMPおよびcAMPによるCa^<2+>の肺血管外排出の増強は関与しないことがわかった. 2)肺血管形態:運動トレーニングラットでは,肺細動脈の増加や肺血管中膜が薄くなり動脈内径の増大が確認された. 3)低圧慢性暴露による肺循環:低圧慢性滞在ラットは,平地および高地での運動中肺循環抵抗が大きく,運動成績を低下させる結果を得た. 4)肺血管内皮細胞由来拡張物質(EDRF):運動トレーニングラットのHPV抑制には,内皮細胞由来拡張物質の関与が期待される. 5)ヒトによる高地トレーニング実験:2000m環境下での高地トレーニングを実施し,平地トレーニングより持久的能力が改善した. 高地運動トレーニング直後の摘出潅流肺による血管反応およびリングによる肺血管反応については,当初の計画通り研究が進行したが,高地運動トレーニング終了2週間後の回復過程については,現在実験が進行中である.また,当初の計画にはなかった肺血管形態について検討した.さらに,本来平成7年度に予定されていた肺血管反応の内皮細胞由来拡張物質(EDRF/NO)の関与についても,検討を行った.この2点の追加研究したおかげで,電子顕微鏡による肺毛細血管レベルおよびEDRF/NOに関するさらに詳細な研究へと平成7年度は発展できるようになった.
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