研究概要 |
本年度は,広島県を事例として,地域変化に伴う地域的都市システムの構造変客について調査研究を行った.その研究成果は2月上旬にGeographical Review of Japan,Ser.Bに投稿中である.結果の概要を示すと,1.地域変化については広島都市圏が顕著な成長を続け,福山都市圏もやや成長しており,これらの都市圏とそれ以外の地域との間の地域格差は増大する傾向にある.そのため,広島周辺では東広島・廿日市市を中心に中心地の階層構造がより発達しているが,都市圏外地域では中心性を低下させる市町村が多い.2.広島・福山両市間の連結関係は強化されているが,県内中小都市相互間の連結関係は発達していない.県外都市との連結関係も同様である.したがって,わが国の都市システムのなかで水平的連結関係が比較的発達しているのは,先の研究で示したように,県外都市クラス以上の都市においてである.3.県内中小都市の事例として上下・吉田両町を調査した結果,吉田町はやや成長傾向がみられるが,多くの小都市は衰退傾向にあり,欧米諸国とは異った状況にあることが明らかとなった.その理由としては,わが国の農村地域における社会資本整備の遅れや農村人口の減少が主たるものと考えられる.
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