まず、1954-93年におけるわが国の国内人口移動パターンの変化を、総務庁統計局:『住民基本台帳人口移動報告年報』に基づいて明らかにした。戦後の人口移動は、1960年代までの三大都市圏への顕著な純流入、1970年代における大都市圏・非大都市圏間移動の平均化、1980年代における首都圏への純流入の漸増および80年代後半からのその縮小、と要約できる。 このうち、1970年代以前の時期に関しては、規定要因がかなり詳しく明らかにされてきたので、本研究では1980年代以降の時期に力点を置いた。その結果、 1)首都圏の純移動のマクロな水準は、景気変動という要因によって規定されてきた。しかし、その説明力は、経済の高度成長期に比べてずっと低い。 2)これ以外には、東京の世界都市化に伴う、金融や対事業所サービス業の成長といった経済的要因、大学入学者の供給数の変化、製造業雇用の縮小、などの原因が、重要と判断された。などの点が明かになった。
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