研究概要 |
20世紀の大都市構造を特徴づける副都心は,インナーシティ問題や機能集積の変化外国人労働者の増加などで,大きく変化しつつある。これらの変化の実態と街から人間的な暖かさが喪失してきている立体的な都市空間構造のあり方を考えることを研究目的とした。 本研究は2年計画であり,研究1年目の本年度は、資料収集を中心にすすめた。東京をはじめ,関連研究都市での資料収集は、おおむね順調に遂行できた。調査の中心は,東京・渋谷での実地調査で,その主な調査内容は副都心への来街者面接調査,来街者追尾調査,経営者面接調査である。また,それ以外にも多面的に、関係諸機関,関係者への面接調査を実施した。 以上の調査結果から,副都心の変化は、仮説以上にダイナミックに進んでいることが明らかになった。その第一は、多核心型都市構造への都市政策転換であり、これにより、副都心の機能的高度化がみられる。しかし、他方で、副都心そのものNO成熟化により、従来の枠組ではおさまらない問題が生じてきており、政策理念と現実とのギャップが生じている.それは、ハードとソフトのギャップでもあり、そのギャップを埋めることが,人間に暖かな副都心の再生につながるものと考えている.第二は,人が集まらなくて困っている商業中心地が多い中で、人が集まりすぎることによる副都心の問題である。集まる人の質的側面、すなわち、年齢,品性、経済力などが副都心の盛衰に大きく関連している。これは、従来の日本では一人あたりの購買力が平均化していたために、商業・商業地分析に際し、単純に人数をみることで概ね実態把握ができたことの見直しの必要性を示している。これらの研究結果については、次年度により明確にしていく予定である。
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