標高約18070mの高根ケ原において10月に3m深までの試掘を行なった。これにより、直接的に永久凍土の存在を高根ケ原において初めて確認できた。またこの地点に自動地温記録計を設置した。永久凍土が発達する深さの下限は不明であるが、今後の地温観測により推定可能となる。これまでに永久凍土は北海平(標高2060m)と白雲分岐(標高約2100m)、平ケ岳南方湿原(標高約1620m)においてだけ直接的に存在が確認されていた。 環境庁の調査許可日程の都合から条件の良い6月に北海平においてボーリングは行なうことは出来なかった。しかし、1995年春に当初の目標の10m深を越えるボーリングを実施する予定である。 また8月に北海平において、風向風速、気温、雨量、日射量の自記装置を設置した。気温以外の気象観測が自記計によりなされるのは大雪山の山頂部ではこれが初めてである。 また標高約2000mの白雪小屋における1985年以降の気温観測値の整理を行なった。この結果つぎのことが明らかになった。1985年から1988年にかけては、冬期に寒冷で夏期に温暖で、年較差の大きい内陸的な気温変化を示し、暖からの指数(WI)はほとんど15を上回る。しかし1989年以降は冬期に余り寒冷ではなく夏期にもそれ程温暖ではなく、年較差は小さくなり、暖かさの指数は15に達しない。また冬期の方が夏期よりも年による気温の偏差が大きい。年間の凍結指数と融解指数の年による変動を比較すると、凍結指数(3100から2400℃・days)の方が融解指数(1170から1000℃・days)よりも偏差が大きい。
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