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1995 年度 実績報告書

岩壁の凍結破壊と落石の発生機構

研究課題

研究課題/領域番号 06680157
研究機関筑波大学

研究代表者

松岡 憲知  筑波大学, 地球科学系, 講師 (10209512)

キーワード周氷河地形 / 風化 / 落石 / 地温 / マスムーブメント / 野外観測 / 寒冷地域
研究概要

前年度に引き続き,岩壁の凍結破壊とその結果としての落石の発生過程について,野外観測と室内実験の両側面から研究を行った.平年7年の4月〜6月にかけて融雪期に,計11回調査岩壁を訪れ,落石の分布・粒径・個数・移動軌跡および積雪の消耗量の調査を実施した.岩壁温度と亀裂変位に関する3カ所の無人観測地点では,さらに1年間の観測データが蓄積した.また,花崗岩のブロックに人工的に亀裂を作り,その中を水で満たし凍結させた際の膨張を調べる室内実験を,凍結速度を変えながら,計13回実施した.
野外観測データは,冬の低温期と春の融解開始期にそれぞれ1回ずつ凍結膨張が起こったことを示す.前者は一時的な岩盤表面の融解直後の再凍結時,後者は残雪の底面での融解水の節理への侵入とその再凍結時に発生しており,いずれも節理中の水分の重要性を示している.室内実験では,0〜-2℃における急激な凍結膨張の発生が記録された.これは,閉鎖系にある亀裂が水で満たされる場合には,凍結が及ぶ深度までは亀裂の膨張,すなわち岩盤の破壊が発生しうることを示しており,融解期の野外観測で明らかになった0℃をわずかに下回る温度条件下での節理の拡大を支持する.
季節的凍結層の形成・消耗期に岩盤表層部で生じた亀裂の拡大は,凍結層の融解期には落石を引き起こす原因となる.3年間の融雪期の落石調査では,いずれも融解の進行とともに落石が増加する傾向が認められ,しかも落石発生のピークは岩盤の露出のピークよりも約10日間遅れることが明らかになった.また,雪解け後は岩盤内部に融解が進行するとともに次第に落石径が増加した.熱伝導理論に基づく計算の結果,岩盤の季節的凍結層の融解が1〜2m程度に達したときに,落石が多発する傾向があることが示された.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Norikazu Matsuoka: "A laboratory simulation on freezing expansion of a fractured rock" Annual Report,Institute of Geoscience,Unirersity of Tsukuba. 21. 5-8 (1995)

  • [文献書誌] Norikazu Matsuoka: "Soil moisture variability in relation to diutnal frost heaving" Permafrost and Periglacial Processes. 7(印刷中). (1996)

  • [文献書誌] 松岡憲知・酒井裕晃: "融雪期におけるカ-ル壁からの落石の発生過程" 地形. 17. 39-40 (199)

  • [文献書誌] 松岡憲知: "岩盤の凍結破壊に関する野外観測" 地形. 17. 40 (199)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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