研究概要 |
近年,高校での物理履修者の減少などの影響を受け,大学の物理教育においても従来型の教育に加え,多様な学習履歴に対応した物理教育コースの開発が必要になってきた。このようなコースの実現には,学生の興味・関心,学習進度,将来の進路などを考慮した教材,コーステキスト(教育内容)の開発と,学生の主体的学習活動に重点をおいた教育方法の研究が必要である。本研究では,学生がデータベースを利用して,必要な情報を検索し,目指す問題を解決していくことのできる教育システムの構築を研究した。 平成6年度は,物理教育コースの基本構成の検討を行なった。基本構成は,基本物理コースと多様化物理コースとし,それぞれの内容を検討。基本コースは基本的な物理内容を対象とし,多様化コースは超伝導,素粒子物理など現在話題となっている分野や,物理の応用分野を主な対象とするもので,平成6年度は基本物理コースを中心に学習項目とその内容を決め,学習を補助する文献を収集し,データベースの構築を試みた。文献は主に啓蒙的な雑誌および単行本などから収集した。データベースの各データはタイトル,著者,出典(雑誌名,書名),出版社,発行年,キーワード,分野,抄録または目次,画像データなどを含む。文字情報の入力については,キーボードによる他,イメージスキャナで読み込み,文字変換ソフトで文字に変換するなどの方法も用いた。物理現象の写真など画像情報はフォトCDや光磁気ディスクに蓄積した。また市販の各種CD-ROM情報も利用した。データベースには上記の文献情報の他,教育におけるマルチメディア化を考慮し,科学VTR,物理関連のコンピュータソフトの情報なども若干収集した。マルチメディアに関しては,文部省放送教育開発センターにおける教材のVTR化やデータベース化の手法とその問題点について参考にさせて頂いた。今後さらにデータベースの件数と信頼性を増し,操作性を向上させる必要がある。
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