研究概要 |
大学初年級の物理教育が抱える大きな課題の1つは,高校物理の未履修者への対応である。学生の物理履修歴は多様であり,物理の基礎学力と教科への興味・関心の持ち方のスペクトルも広い。昨今いわゆる「物理離れ」が顕著で,一般に物理への関心・興味はかつてほど高くない。本研究では,こうした学生への対応索として初年級の物理教育コースを工夫し,実践を行なった。 平成7年度は2本立てとした物理教育コース(基礎物理コース:従来の体系に沿い,物理の基礎的な内容が対象;アドバンストコース:超伝導,素粒子,宇宙など現在話題となっている分野や,医用物理などの応用分野を主な対象とし,学生の興味・関心によって自主学習を行なえるコース)のそれぞれについて開発,改善および実践を行った。 基礎物理コースにおいては,さまざまな学力を持つ学生に対応して物理学の講義を補助する目的で,コンピュータ支援の学習システムを一部開発した。このシステムは従来のテキストをハイパーテキストにより階層化し,学習分野の全体像を把握しやすくすると同時に学力に応じたきめ細かい対応を可能にしたものである。ここでは学習の理解を助ける補助情報や画像情報なども表示できるようにした。 アドバンストコースにおいては,課題の調査・研究のための情報検索に使用する文献情報データベースに平成6年度に引続きデータを追加した。 本コースの教育実践を行なった結果,受講者のアンケート調査から全般的に好意的な評価を得た。一方,コンピュータ設備やマンパワーの問題,データベースの更新の問題など,解決すべき問題点も多い。
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