平成6年度は浅井と市原が委員を務めた教育方法等改善専門委員会・専門基礎教育部会の2年間に渡る研究成果を継承かつ発展させ、(1)高専教育おける総合化の意義と目的、(2)教育課程における総合科目の位置づけ、(3)総合科目の教育目標・教育内容・教育方法、(4)総合科目の学習教材、に関する研究を行った。(1)ついては、新高専制度が高専教育の個性化と多様化や研究・開発型技術者養成機関への転換に結び付くためには、総合化による教育内容と教育方法の改善が不可欠であるとの結論を得た。また、(2)については新設置基準に基づき、応用数学と応用物理の教育内容と単位数を削減して、総合科目(応用数学解析)を3年次から4年次に継続する専門科目として開設するのが最も適当であるとの結論を得た。(3)については以下のように提案する。総合科目の教育目標は自己学習力の育成と実践的な問題分析・解決能力の育成とする。総合科目の教育内容は応用数学と数値解析を密接に関連づけた骨格的単元に、工学上重要な応用物理の教育内容を導入教材と演習テーマとして配置し、情報処理の技術を問題解決の手段として組み込む。総合科目の教育方法は講義形式の一斉授業と計算機による個別学習を組み合わせたものにする。(4)については常微分方程式の学習教材として、2階常微分方程式の理論と一段法に基づく数値解法に振動現象、構造化プログラミング技法、グラフ作成ツールの活用を取り入れた教材を作成した。学習展開としては、○振動現象による導入→○運動方程式の定式化→○微分方程式の理論→○数値計算法の理論→○プログラミング→○ツールの利用→○振動現象の解析→○まとめと課題演習、という形を採用した。浅井が担当する数値解析の授業でこの教材を利用し、教育効果を確かめた。これらの研究成果(詳細は実績報告書附属参考資料を参照)は第42回応用物理関係連合講演会で発表する予定である。
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