研究概要 |
平成6年度は,健常成人,健常児童および学習障害児における視聴覚刺激に対する内部空間に関する運動計測を行った。得られた結果を以下に述べる。 1.頭部・体幹運動計測装置,眼球運動計測装置,指示点計測装置およびターゲットなどを呈示する視聴覚刺激装置を試作し,それらを組み合わせた注視運動および指示運動の同時計測システムを開発した。 2.視界周辺部に刺激を呈示した場合,注視点および指示点がともに正面方向にずれる現象が認められ,注視運動および指示運動が同じ傾向を示すことを確認した。 3.学習障害児による計測を行い,健常児に比べ視聴覚刺激に対する指示点が劣ることを見い出し,知覚-運動機能の定量的診断の可能性を示した。 5.一卵性双生児で一児が健常であり他が学習障害児と判定されるケースでも,4と同様な結果が得られた。 以上から,健常成人・健常児童においても内部空間とターゲットの呈示位置とにズレがあること,および学習障害児においてそのズレは大きいことが分かった。また,この空間のズレは日常の運動からプログラミングが修正されることが推察された。
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