研究計画の初年度である平成6年度は、TFTカラーノートパソコン及び関連する周辺機器を導入し、雑誌文献等における高齢コンピュータユーザーに関する記事を収集し、眼科医に情報提供を受けるなどして、基本的な準備をするとともに、(1)先進的高齢パソコンユーザーとして、パソコン通信ネットワークの関連フォーラムのログの分析と、(2)一般高齢者を対象とした質問紙調査を実施した。(1)については、今年度は、高齢者のためのフォーラムとしてニフティーサーブのメロウフォーラムを選び、オンラインアンケートをする前に、フォーラム登録者128名(最近入会したもの)のプロフィールの分析と当該フォーラムの一部のログの分析を行った。同フォーラムは、発言が活発でとてもすべての電子会議の発言を分析することはできないので、その一部を分析したが、健康と生活に関するものが多いこことが分かった。プロフィールに明示された内容からは、給与所得者の定年退職者及びその予備軍が多いことがうかがわれる。また、まだ数量的には分析していないが、発言のスタイル(文体)も他のフォーラムより丁寧である。(2)については、予備調査を実施し、高齢者の情報機器接近度は低いが、身近にいる情報機器接近度の高い知人、家族の存在によって大きく左右され、また個人差も大きいことなどが、明らかになった。現在、本調査を準備中である。 今年度は、概要を把握することに終わったが、(1)については、ログの分析の方法の検討、調査対象のバイアスの評価が課題である。(2)については、質問項目の精選とサンプルの質量の充実を考えている。また、阪神大震災の被災経験により、情報収集、判断のあり方にも多くの反省を迫られたので、次年度はそれを踏まえた健康情報、安全情報について調査したい。
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