高齢者全体から見れば少数であるが、コンピュータなどの情報機器やパソコン通信などを使いこなしている高齢者の特性や条件を明らかにすることは、高齢者に対する情報教育を考える上で、重要な示唆を与える基礎資料になると考えられる。本研究においては、パソコン通信を利用している高齢者について、主としてそのログを手がかりに事例的に検討した。これに関しては、主として大手パソコン通信の高齢者向けフォーラムの発言を分析した。また、それらを補完する意味で、一般の高齢者に対する情報化と健康や生活に関する小規模な質問紙調査を実施した。 それらから、主として以下のような結果が得られた。 (1)一般の高齢者の情報機器親和性は低く、使いこなしの程度、関心はともに低いが、身近にコンピュータ親和性の高い知人または家族がいる場合は、コンピュータなどの情報機器に対する親和性が高くなる場合がある。 (2)高齢者のためのパソコン通信フォーラム参加者は、他のパソコン通信ユーザーに比較すると相対的にコンピュータ親和性や情報スキルが高いとはいえない。また、以前コンピュータやそれに関係した仕事に就いていた者と友人、知人のすすめによるものが多い。 (3)パソコン通信の一般のフォーラムは、高齢者のニーズを十分満たすものとは言えず、高齢者専用フォーラムの社会的意義は大きいと考えられる。
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