研究概要 |
7年度の研究は,オーサリングツールの開発,素材データベース構築方法の検討,開発教材による授業実践を行った。その結果次のような成果が得られた。 1 認知科学における文章理解研究の理論を用いてリンク機構を拡張し,情報(ノード)間のリンク(関係)に適用した。これにより,学習者は自己の意図を,日常用いている接続詞(それで,なぜなら,など)や疑問詞(いつ,どこで,など)でシステムに伝え,探索することが可能になった。次にこれをオーサリングツール化した。これを用いることにより,探索活動における学習者の思考過程への配慮,デザイナ-としての教師の意図の組み込み,教材内容の容易な変更,が可能になった。 2 今後素材として多用される静止画像やビデオ等の動画像を対象にして、動画像の各カットや静止画の表す動作内容を格関係表現に基づいて記述しインデクスとするデータベース構築方法を開発した。このインデクス法は課題領域に対して汎用性が高い方法で映像に自動的にリンクをはることができ,したがって,既存の画像データから簡単に教材を開発することが可能である。 3 本オーサリングツールにより,小学校5年社会(伝統工業)と高等学校美術(封入樹脂によるペ-パ-ウェイトの制作)の教材を開発して授業実践し,ハイパーメディアを重視した授業の柔軟な設計と展開が可能であることを実証した。同時に,本ツールによる授業設計と展開の具体的手順と技術を明らかにした。とくに,学習情報を子どもの思考特性に合わせて整理し,ハイパーメディア教材として構成し,組み立てる手順を詳細に示した。
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