本年度の主な研究目的である、我が国のプラネタリウム施設の稼働状況の把握は概ね達成できたと考える。具体的には、平成6年7月上旬に各プラネタリウム施設(235施設)に対してアンケート調査を行った結果、以下のような知見を得た。尚、アンケート調査に用いた項目は、上映プログラムの入手方法・上映プログラムの選択基準・主な上映対象者・学校との連携・教育効果・運営上の問題点の計6項目である。 1.教育評価を行っているプラネタリウム館は約10%と低率であり、しかもその大半は情意面の評価に止まっている。今後、認知面からの評価活動を行っていく必要がある。 2.調査対象となったプラネタリウム館の中には、閉館に追い込まれたり、近々閉館予定であったりする所も存在した。教育効果という視点からプラネタリウム利用を再考するする事が急務である。 3.プラネタリウム運営上の問題点として、設備更新、予算の拡大、人的組織の充実が挙げられる。 また、本年度の研究成果の一部を、日本理科教育学会第32回関東支部大会(東京学芸大学 1994.11)において題目「日本におけるプラネタリウム利用の現状と課題(I)}として口頭発表を行った。さらに、研究報告書として「教授メディアとしてのプラネタリウムの効果的利用を目指したプログラムの開発と試行〜日本におけるプラネタリウム利用の現状と課題〜」を刊行した(1995.1)。 本年度の研究成果を基礎にして、次年度以降では、プラネタリウムの教育効果に関する実証的研究、及び学習プログラムの開発へと研究を進めていきたい。
|