研究概要 |
平成7年度は日本、台湾における中学生の家庭生活態度の実態及び家庭科、健康教育科との関連について検討した。得られた主な結果は以下の通りである。 1、家庭生活態度36項目を得点化した結果、35項目において日本が有意に低い結果であった。小学校家庭科の学習内容でもある小遣いの記録、栄養素、洗濯、ボタンのつけ直し、テレビの視聴時間等は特に低い結果であった。 2、上記に関する男女差は、日本29項目、台湾22項目に認められ、いずれも女子が有意に高かった。両国に共通して、被服、食物、住居に関する技能を伴う実践内容と、学用品、衣服に関する消費行動に関して男女差が認められ、この他、日本の男子は、消費者としての自覚や環境に積極的に働きかける態度も得点が低かった。 3、家庭生活態度の構造を明らかにするため因子分析を行ったところ、日本、台湾ともに4因子が抽出された。それらは,1.「家事への積極性」、2.「消費者としての積極的態度」、3.「家族との関わりと家事への積極性」、4.「身近な資源の省力化」と解釈された。因子得点は両国とも第3因子が最も高く、日本は第2因子が低かった。 4、生活意識9項目について5項目目に国別有意差が認められ、男女とも台湾が有意に高かった。因子分析の結果、両国とも3因子が得られたが、その解釈は異なり、日本では消費者としての行動意識の因子は抽出されなかった。 5、「家庭科」、「健康教育科」に関する意識・実践度は、両国とも生活への役立ち度の意識が高く、学習の実行度は低かった。特に日本の男子の家庭科への意識及び実践率は低率であった。 6、学習の意識・実践度と家庭生活態度4因子間及び学習の意識・実践度と生活意識3因子間において、両国ともすべての項目間に相関の有意性が認められた。
|