平成7年度には、標記研究課題に関わって、下記の1〜3の研究が行われた。 1 児童の説明文読解過程の分析 平成6年度の小学校2年生を対象にした調査に引き続き、小学校4年生を対象に調査を行った。「一人読み」の場面で児童が説明文のどんな部分にどう反応しながら読んでいるのかを調査した。その結果、次に3点が明らかになった。(1)4年生には説明文に対する概念的知識(説明文スキーマ)が育っており、大筋において、ある事柄について事実を伝えるという説明文の目的からそれない読み方ができる。(2)したがって、一人読みの際に様々な方法で読み進めても、そこには「読み取った事実をいかにして他者に伝えるか」という点で意識の共通性が認められる。(3)しかし、読み取った事実をリアリティーを持たせて他者に伝えようとするあまり、科学的には認められない「比喩」や「創作」が行われることがあり、読解指導の方法上注意が必要である。 2 児童の説明文スキーマの発達と教材の展開構造の関わりについての調査 平成6年度調査の分析を進めた結果、入門期においては、質問解答型説明文が宣言型説明文、物語型説明文よりも主内容の読み取りにおいて高い理解を示すことが明らかになった。比較のために行った4年生の調査では、説明文スキーマが育っているため、当初の予測通り、説明文の展開構造に関わりなく理解されることが明らかになった。なお、この点については、調査時期を変えてさらに調査を継続中である。 3 説明文教材の試作 平成6年度、7年度の調査結果をもとに入門期および説明文スキーマがある程度形成された段階での説明文教材の試作を行った。
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