小学校3〜4年生を対象に、珠算と筆算を行う様子をビデオカメラで撮影し、それぞれの計算を行う際にモニタリングがどのように働くかについてインタビューを行い(必要に応じてはビデオを再生して見せた)、詳しく分析した結果、下記の点が明らかになった。 1.計算の誤りに気づく程度---珠算塾に通っている子どもの場合、筆算よりも珠算(見取り算)の方が誤りに気づき易い傾向がみられた。ここでの被験者はそれほど珠算に熟達しているわけではないが、かなり高速でソロバンを操作しながらも誤りに気づくことができるという発見は興味深い。 2.どこで誤りをしたかの推定---見取り算の誤りをした被験者のほとんどが、ビデオを見直さなくても誤りをした箇所を推定することができた。筆算の誤りについては、これとは逆に、最後まで誤りの箇所を推定できない者が19%あった。 3.なぜ誤りをしたかについての考え---見取り算では、「ソロバンに数を入れ間違った」「2か32かはっきりしなかった」「0の所をずらして計算した」のような不注意なミスであったという回答が多かったが、筆算の場合は「九九を間違った」「繰り上がりを間違った」のように、計算の基本が充分理解されていないことによることが多かった。 4.検算の方法---見取り算では「もう一回計算をする」ことがほとんどで、筆算(引き算)では「足し算をする」が多く次いで「もう一回やる」、筆算(かけ算)では「もう一回やる」に次いで「わり算をする」が多かった。引き算の場合は、足し算によって答を確かめられることが比較的よく理解されていたが、かけ算の場合は、検算方法として「わり算をする」とは答えるが、どの数をどの数で割るのか分からない者もみられた。
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