研究概要 |
この時代の事実の整序は,これまで昭和21年6月から翌22年3月までの学習指導要領(試纂)の成立と教科書の新編纂に視座をおいてなされてきたが,平成6年度の研究では,この前史に相当する昭和20年末から昭和21年3月に至る時期についての史料の収集がなされた。その結果,これまで「語られはするがその実態が明らかでなかった」墨ぬり教科書の使用された時期とC.I.E.の示唆による暫定教科書が編纂される過程で,わが国の担当官がどのような作業をしていたかが明らかになった。更に,この時期のC.I.E.側の主張について,その具体的な意見を「教科書の英訳」指令の中に見い出すことができた。 総じていえば,研究課題における萌芽期の様相についての貴重な史料の入手とその解釈についての裏づけとなる英文での会議録の発見が,研究初年度の成果といえる。
|