本研究の目的は、障害児の放課後の実態調査を基に、今日課題とされている障害児に対する社会教育や学童保育サービスの実践を教育方法的に支える構想を提出することにある。 具体的には、学校5日制を障害児教育の分野でも全面実施していくためにも、学齢障害児の放課後・休日についての実態調査を基に、放課後・休日・長期休暇中における地域社会の側でどの様なサービスやプログラムを準備することが必要かを検討することである。平成6年度には、障害児を入所させている全国学童保育所の実態調査を実施し、検討した。また、東京、大阪等において行われた実態調査の収集をおこない、擁護学校の学校開放事業の報告などを収集し検討してきた。これらの成果は、平成7年度、奈良教育大学紀要に発表する予定である。 また、すでに学校5日制が実施されているアメリカなどの欧米諸国について、文献調査および関係協会へのプログラムの照会調査を行い、学齢障害児のアフタ-スクールケアを検討し、現在、アメリカについては、「アメリカにおける統合的学童保育の発展」(『障害者教育科学』第30号、P.35-39)として発表した。 全体を通して、学齢障害児の学校外での生活の概況を把握し、各種の取り組みを、実態調査や訪問観察などで捉えることができた。さらに、アメリカ・オーストラリアにおける学齢障害児のアフタ-スクールケアについては、1980年代に発展してきたという経過が明らかになるとともに、現在、健常児と障害児の統合がアフタ-スクールケアの中でも進行していることが明らかとなった。
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