当研究の目的は、通常の学校教育下において、量分数概念に関わるある種のミスコンセプションの形成される確率が極めて高いという事実に対して、その教授要因と認知要因を明らかにするための基礎研究を実施することであった。 本年度の研究結果としては以下の3点が得られた。 1)通常の指導法に近いある種の指導法(以下指導法SI′とする)によるならば、問題とされているミスコンセプションの形成確率が3年生の児童に対してほぼ100%である。 2)指導法SI′下におけるミスコンセプションの形成過程に関して、2つの可能性が論理的には存在する。 3)上記の分析結果に基づき2種類の治療指導を開発し、一方の治療効果が60%程度であることを示した。しかしながら、もう一方の治療効果については必ずしも明らかにできなかった。 また、今後の課題として、以下の3点が得られた。 1)2種類のミスコンセプションのモデルが想定されるが、どちらのミスコンセプションを子供達が実際に所有しているかを判定するための方法の開発。 2)治療指導の効果が得られなかった子供達の認知モデルの構成とそれに基づく新たな治療指導法の開発。 上記の3つの研究結果に対する発達傾向の存在の有無
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