研究概要 |
1.これまでの研究成果 (1)資料収集 19世紀前半のアメリカ合衆国の文献については、現在までにロウエル・メーソンの著作による音楽教科書"Juvenile Lyre"(1831),"The Song Garden"(1864)など25点、その他トマス・ヘイスティングス、エラム・アイブスら18名の著作による教科書合計72点を、米国国会図書館、メリ-ランド大学図書館を中心に収集した。これらの資料は、先に入手した、ルーサー・メーソンコレクションとあわせ、19世紀の米国の音楽教育について把握するためにほぼ十分な数であると思われる。また、わが国の文献については、文部省の「音楽指南」(1884)、ル-ミス/東儀訳「小学唱歌教授法」など明治中期までの音楽教科書、指導書42点を収集した。これらの資料はまだ整理中のため、数が若干増える予定である。 (2)データベース制作及び資料批判 収集した米国とわが国それぞれの資料について、本年度購入したコンピューターを用いて文献のデータを入力し、データベースを構築した。各教科書に掲載されている教材は本研究の中心的資料であり、タイトル、作曲者はもとより調、拍子、形態などについても調査した。なお、これらの資料は、資料批判の結果、研究資料として真正のものであることが確認された。 2.今後の研究の展開 本年度は、資料収集と資料分析が主たる目的のため、研究成果の公表を行わないが、平成7年度は、本研究の最終研究年度であり、6年度で得られた成果を元に、研究成果をまとめ、公表する予定である。計画書にのべたように、米国とわが国の初期音楽教育の理念、指導法、教材の比較、分析を通して、日本の音楽教育がどれだけ影響を受けているのか、多角的にアプローチする。
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