本年度は、平成6年度及び平成7年度の研究を継続させながら、以下の研究を実施した。 1.ハイパーカードで作成された、もしくは類似した関連ソフトを、いわゆるエデュテイメント・ソフトにまで拡げて収集し、検討した。 2.ハイパーカードを用いた教材開発を具体的なレベルで行うため、校種は高等学校、教科は地理歴史科、科目は日本史、大単元は特定の時代に対象を限定した。そして、教材研究は、現職の教員が、他の任意の大単元で追試的に試行する可能性を示し、なおかつ、日本史に関する歴史学的研究の発展の一定の反映をはかるため、ほぼ10年毎に出版された日本史のシリーズを中心に関連文献を収集し検討した。 3.具体的には、狭義の「室町時代」についての教材開発をハイパーカードを用いて試みた。アメリカと日本の先行研究をふまえ、単に教科書と資料集を電子的に置き換えた教材開発ではなく、その内容についてはユニークな視角からのこの時代の捉え直しが可能なものとした。また、その方法については、ハイパーカードの特性をいかして、特定の用語や画像に各種のボタンを設定し、他のカードとリンクさせ、さらに、フィールドのスクロール機能、カード間の移動時の視覚的効果を取り入れることを行った。こうして、「室町時代の人々の一日/一月/一年/一生」の構想を練った。そして、この大単元のすべてをハイパーカードで開発するには、莫大な媒体などを必要とするという限界も判明したので、本年度は、「室町時代の人々の一日」(トライアングルコース)という、室町時代の人々の毎日の日常生活へ衣・食・住の3つの視角からアプローチする教材を開発し、報告書としてまとめた。
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